悪夢だと、そう、思った。
目の前に広がる無惨な光景のその全て、少し離れた場所に移った丁度その時だった。
一瞬の閃光が全てを焼き尽くして。
驚いて見上げた先に見つけたものは
配属された隊で連絡の行き違いから出来た空白の時間、シンは情報端末に向かっていた。他に特にする事もなかったから。
生きてはいる、でもその意味がまだ分からない。・・・・・もう、誰もいないのに。
流されるままに軍隊に入って、今では自分が戦う事になったけれど痛む胸すらなかった。
一人でいればまだ、あの日の事を思い出さずにはいられない。
静かな時間は独りであることをよりいっそうに思い知らせてきて。
だから何となく家族に繋がる事、あの日起きた事を追っていて。
フリーダム。
戦争の中でザフトから奪われたそれは禁忌の名となっていた。軍の装備開発記録の中にだけかろうじて残っていた名前は彼にとって特別なもの。
その機体の名前を知ったのは、ザフトに入ってからだった。
正義であるかのような白い悪魔。
復讐しようなんて気はなかった、ただ一言文句が言いたくて
振るう刃のその意味を知らないのか知っていたのか。
ただ、問いたくて。
それを駆っていたという人間に、会いたいと思っていたのに。
「ふぅ。」
大きなため息が漏れる、プロテクトがかかっていてこれ以上先には進めないのだ。プログラミングは苦手と言うことはないけれどあくまで出来るのは人並みの事、情報部のプログラマが作った暗号を解けるはずはなく。諦めようと大きく伸びをした瞬間。
「どうしたんだ。」
背後からかけられる、声。ビクリ、と一瞬そのまま後にこけそうになる体を何とか持ち直して、振り向くと
「レイ。」
同僚は何処か含みのある顔でシンのパソコン画面を見つめていた。
しまった、と思うけれどもう遅い
「一寸、興味があっただけなんだ。」
慌てて誤魔化すけれどオーブからの避難民だと知っている彼には無駄だろう、そうでなくてもこの酷く整った顔の同僚は変なところで妙に勘がいいのだ。しかし
「知りたいか?」
かけられた言葉は、想定外なもの。
「え?」
思わず間の抜けた声で聞き返してしまう。
てっきり、機密ファイルに信用としていた事を弱みにされるのかと思ったのに。示されたのは共犯者の囁き。けれど。
「別に。」
『白い悪魔』にそれほど強い執着があったわけではないのだ、それなのに
「無理をしなくていい、好奇心は誰にでもあるものだ。」
子供をあやすような一見易しげな空々しい笑顔。
強引にキーボードを操って簡単にパスワードを入力してしまう。
それはまるで自分に伝えたがっているような態度。
一瞬不審に思って、しかしそんな事はすぐに吹き飛んだ
『キラ』というその少年の事を聞いてしまったから。
今の自分と同じ年だったという同じように突然の戦争に住む場所を追われ、否応なく戦争に身を投じる事になった。
それが、彼。
コーディネーターであるのに地球軍に身を投じ裏切られ。それでも戦い続けた。
なんていう人だろう。
いつの間にか、初めの目的なんて何処かに行ってしまっていた。
ただ、会いたい。
会って話し合したい。奪われる事を知っている貴方がどうして再び刃を取ったのか、
奪うも物になったのか
そしてその胸は痛まなかったのだろうか
空っぽの胸の中に何かが生まれた
「ありがとう、レイ、聞けて、良かった」
素直に感謝の言葉を態度にするとレイはただ、満足げに笑って。
「どういたしまして、一つ、貸しだな。」
そんな、軽口。
「貸しってなんだよ。」
取っつきにくいと思っていた同僚の親しみやすさに触れた気がして。
「さあね、いつか返して貰うよ。」
それが、どこまで本気だったのかを、この男が本当は度運ぁ人間なのかを、知るのはまだ少し先のお話。
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はい、というわけで遅くなりマシが新シリーズ第2作目。 |