RIVAL
ザフトの精鋭がヘブンズゲートを責め、多大なる犠牲と引き換えに世界平和のために力を尽くしていたとき。
「大体アスランが悪いんでしょ、うっかりあんな奴に騙されるから」
「な、そう言うキラこそ悪戯に、戦局を混乱させて、殺さないからっていいわけじゃないだろ。」
水中のアークエンジェルではそんな会話が繰り広げられていた。
「じゃ、殺した方がよかったわけ? 君も入ってるんだけど」
冷たい目で言うキラに。
「人の揚げ足を取るな」
お小言モードで冷静に言い返すアスラン。けれど、
「ならはっきり聞くけど、どうしてあのラクスを認めちゃうの、アスランちょっと冷たいんじゃない?」
それを持ち出されれば、明らかに不利だった。
「ミーアは、ただ平和を願って。」
そうは言うけれど。
「どうだか、胸、大きかったよね。アスランってああいう子が好みなんだ。」
キラは自信たっぷりに言い返す、そこに正気があった。
「それはお前だろ。」
明らかに勘違いした発言にアスランはここぞとばかりにキラの過去を持ち出して。
「お前ら、こんなときに痴話げんかなんてするなよな」
とうとう見かねたカガリがそう声をかける、けれど。
「カガリって、時々自虐的だよね」
キラは
「?」
「痴話げんかっていう意味は、分かってるのか?」
呆れたように諭すアスランに。カガリはようやく自分の失言に気付いたのか顔を真っ赤にして。そこに追い討ちをかけるように、
「そ、アスランとカガリがするものだよね。」
にっこりとキラが笑えば、もう金魚のように口をパクパクさせるしかない。
「キラッ」
アスランが咎めるように言うけれど。振り向いたキラの。
「君に責めるような権利はないよね。」
その顔は、もう笑っていなかった。
そしてそのまま医務室を出て行く。
その背中を、アスランは追いかける事ができなかった。それは、体の所為もあるけれどもっと大きな心の理由のために。
「なんか、妬けるな。」
二人きりになった医務室で、カガリが沈黙を避けるように言葉を口にする。恋人として公認のような扱いを受けて、そういうのは苦手らしい。
そんな彼女の純真さが好ましいと思った時期もある。けれど、
「何が?」
時々物足りないから、アスランは分かっていてそう口にする。
「お前とキラだよ。」
簡単に、もたらされる答え。カガリは素直だ。
「どうして?」
そんな彼女の意見を聞きたくて尋ねれば、
「遠慮なくて、ぶつかり合ってて。二人だけの世界な気がする。」
周りからは、そう見えているらしい。
「そうか?」
「そうだよ。」
言い切る、自信に満ちた顔。
やっぱり分からないのだろうか、カガリには。
俺達とは、違うから。
アスランはキラに思ったことの欠片も伝えられていない、キラも多分そうだ。幼馴染で、だからずっと一番近くに居て競ってて。
引いたら、負ける気がして。
いつの間にか何もかも比べるようになってて。
本当は仲良くして、ずっと一緒に居たいのに。
誰よりも愛している。
仕舞い込む言葉、
適わない願い、
届かない思い。
我慢したのにまたすれ違って。
「一歩を、踏み出せばよかったのかな」
「え?」
カガリに聞き返されて、アスランは思わず本音をこぼしてしまっていたことに漸く。気が付いた。
「なんだか、疲れてるみたいだ。」
こんな失態。
少し一人にして欲しいといってカガリを追い返すと隣から声が聞こえた。
「若いねぇ。」
それは、知っているのに知らない人。
「何が、言いたいんですか?」
記憶をなくして別人になったくせに鋭いところは変わらないまま。
「あの坊主が、好きなんだろう。本当は。」
核心を突いてくる。
「本当に好きならあんな態度は取れないはずだろう、お前の場合。」
カガリに対する紳士的な態度は作り物なのだと指摘されて、それを認めるのはプライドが許さなくて。
「婚約者を取られたから、妹をとってやっただけですよ。」
吐き捨てれば。
「嫉妬は恋の駆け引きってか、どっちが仕掛けたんだか。」
意味深な言葉、でも。
自分もキラも素直じゃないから。
どこまで本気か、読めなくて。
きっと一生変わらない、
君は最愛のライバル。
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えっと、すみません、お前は何がやりたかったんだと言うお話ですが、久しぶりに男らしい二人を書いてみたかったというかやっぱり黒×黒は書いてて楽しいですね。
こういう本音の分からないそんな関係も好きだったりします。 でも黒いわけじゃなくて意地っ張りなだけ、そんな関係。 一応少し珍しい感じの話なのでメッセージフォームは付けてみました。いや、反応があるといつでも嬉しいもので |