「ねぇ、『キラ』って、どんな人だったんですか?」
こんな思いをする位なら、聞かなければいいと思うのに。
「キラ? ああ、キラは・・・・・」
この笑顔が見たくて、どうしても話しかけてしまう。
コンプレックス
「どうしたの、シン、暗い顔しちゃって。」
シミュレーションマシンから出ると、ルナマリアは悪戯めいた顔でそんな事を聞いてきた。
「うるさい。」
と、それしか言葉が返せないのは余裕が無いからだ。
地球軍のガルナハン基地を陥落させて、隊長に実力を認めさせることが出来た。自分でもようやく自信のようなものが出てきて、守っている人たちの笑顔に触れてやり甲斐を覚えるようになった。けれど、
「ちくしょう。」
まだ、全然勝っていないのだ。
キラという幼馴染を語るときのアスランのあの憧憬めいた瞳と、自分を見つめる時の暖かな眼差し。心地悪いというわけではないけれど、存在の大きさが全然違って。
足りないのは強さ。
もっと、伝説といわれるフリーダムに勝てば認められるだろうかと、そう思うのに。
「この成績で、不機嫌になられると、ちょっと嫌味よ。」
ルナのそんな少し皮肉を含んだ賛辞でも足りない。
乾き。
「ザラ隊長、俺と勝負してください。」
何度も申し込んだシミュレーション戦闘、何時だって負けて、それなのに、
「強くなったな。」
褒められる。でも、次の瞬間、
「シンの、戦い方は、バランスがいいな。」
「どういう意味ですか?」
浮かれた心に、
「いや、防御もちゃんと考えてるっていうか。盾の意味を分かってるって。」
見せつけられるあの人の影。
「『キラ』さんは違ったんですか。」
止めろと思う心が止められない
「あいつは滅茶苦茶だったからなぁ。なまじ反応速度と判断が早いだけに全部避けようとする。」
戦えなくなるくらいなら生き残る必要は無いなんて自虐的な戦い方をするからいつもはらはらとしていたと語られて。そこに親密さが見えて、
「俺は、どこが悪いんですか。」
尋ねると、困ったような顔をされた。
「言ってくださいよ、上官なら部下にアドバイス、するものでしょう?」
詰め寄れば一歩引かれて。
「お前は、いい戦士だよ。」
にっこりと、初めて自分自身に対して向けられた笑顔に言葉を失う。
「どういう、意味ですか。」
赤くなる顔を必死で誤魔化そうと、尋ねれば。
「真っ直ぐで、迷いが無くて・・・・少し、羨ましい。」
アスランの言葉は、本気のものだった。この人は苦しんでいる、けれどその苦しみを、見せてはくれない。悔しくて、
「俺だって、迷いますよ。」
思わず、押し倒した。
「シ、シン?」
アスランは、面食らって、こんな状況だというのに動かない。
強いこの人は、どうして自分の事になるとこんなに無防備で年上のはずなのに。
可愛いんだろう。
「好きです。」
言って恥ずかしくて方に首を埋めた。すると背中に手を廻されて。
「嬉しいよ。」
ぽんぽんと、あやすように背中を叩くやさしい手。
「そうじゃなくて・・・ッ。」
反論を、封じられるように強く抱きしめられて。
「いい、軍人になれよ。」
送られるエール、体重をかけているというのにやすやすと身体の位置を入れ替えられて、
にっこり笑われる。
「ちっくしょう。」
シンはまだ勝てない。
アスランの中に居るもう一人の影にも、
アスラン自身にさえも。それでも、
好きだった・・・・・のに。
それからダーダネルスで始めてフリーダムという機体を見た。
それ以来アスランは弱くなってしまった。
大好きな、彼を奪ったパイロット。
いたいけな少女の命もまた、彼に奪われ。
「あぁんたのせいでぇ!!!!!」
そのにくい敵を北の海でとうとう沈めた、
アスランに怒られた。
そして軍を去ったアスランをこの手で葬ることになった。
ほしい物は何一つこの手には戻らなかった。
どうでもいいですが、今回の話も書きながら完全なネーム状態で頭の中にはあったりします。漫画、ネームを切るまでは大好きで頭の中で勝手にコマ割とかはよく浮かぶんですが、それを形にする力を一切持たないのが切ないです;;
ってまぁそれはおいておいて、久しぶりにシンアスちゃんと書きました。
わけ、分からないですね、ごめんなさい。
シンって言う子の悲しさが、本編で少し足りなかった気がするので。好きなもの(オーブ・アスラン)を壊す辛さそうしなければいけない理由はあったのかもしれないけど、最後気付いていたけど。その間の苦しみや葛藤をもっと書いてほしかったです(キラのときはコクピットで寝るとか、ご飯食べないとかそういう描写があったもん)。
あー、シンキュンもっと書きたいです。本当キュンキュン、最終二話のスタッフロールの馬鹿野郎!!